少女マンガを読む結婚前の人

ついに彼女と結婚することとなり、指輪もティファニーで準備した。浮足立つ僕と対照的に彼女はどっか上の空だった。これはおかしいと勘が働く。

さらにどうもつけ狙われている気がする。尾行されているような。
おかしい。ストーカーだろうか?が、助手席の彼女を見ると、少女マンガを読みふけっている。いい年をして少女マンガか。なんという呑気さだろう。
あ、ごめん。今月号がさっき発売されたばっかでさあ……連載の続きが気になって気になって。見たい?読み終わったら貸してあげる。
どうもありがとう。とお礼だけ述べておく。
それとも浮気?それで先週の日曜日に携帯の電波が届かなかったんだろうか。
様々な疑惑がよぎる。
が、直接それを彼女に聞く勇気はなかった。
怒りんぼの彼女にそれを聞いて、開き直られたならば?
何が悪いの?とか。結婚してもそんなに束縛するつもり?だったら結婚なんかしたくない!!とブチ切れることは目に見えていた。
そして二度と会ってくれなくなる。以前会社で、彼女が得意気に話していた記憶が蘇る。
つきあった人とは全員自然消滅。振られたこともないし、振ったこともない。
つまり自分は悪くないという理屈らしい。円満解消の秘訣だと吹聴すらしていた。

探偵に依頼する

やはり実行するしかないと僕は行動に移すことにした。
そうでないとこのまま結婚したとしても不信感が増すばかりだ。
そっと彼女を見ると、まだ熱心にマンガを読んでいる。真剣な横顔。マンガの世界に没頭しているらしく、表情が移り変わる。
ページをめくるパラパラという音だけが車内に響く。左折の曲がり角に差し掛かり、僕はそのまま緩やかにカーブをきった。