探偵からの報告に仰天する

探偵からの報告に僕はうちのめされた。
報告の冒頭にはお気の毒ですが、と枕詞すら添えられた。

浮気してるんですか?こう聞くと、探偵はなんとも形容しがたい表情を浮かべた。指定された喫茶店に客は少なかった。なんとも古びた外観どおりの古びた内装。
ドラマで出てきそうな昔ながらの喫茶店、といったところだろうか。

ストーキングされてますよ。タバコをふかしながら探偵は言った。
ストーカーですか?
ええ、間違いないですね。依頼主はまだ確定してませんが、ご希望なら調べられますよ。
僕の動揺など気にも留めず、薄情そうな痩せぎすのその探偵は続けた。
やたらと目つきが鋭い男だ。暗い店内で男の目が異様に光る。
危ないんじゃないかな?ふたりとも。
ええっ?
嫉妬に狂った男は見境ないんですよ。普段は穏やかな紳士が一転して化けてしまう。思いもよらない事件へと発展することだってありますしね。
おそらくこれだけのお金をかけられる依頼者ってことはけっこう年配の男じゃないのかな。会社経営者とか。そういう話は彼女から聞いたことないですか?
ふうっと男が吐きだしたタバコの煙が白い筋を描く。
ないですね。と何故か僕は小さくなって答えた。
まあ、彼女はちょっとやめた方がいいんじゃないかな。同年代の人間としてアドバイスしますが。
ええっと僕は探偵をテーブル越しに凝視した。
大人しそうに見えて、けっこうな人なんじゃないかな。いや、失礼。なんていうかこう……突拍子もない行動をしそうなタイプってことですよ。
我々探偵家業をしていると、いろんなタイプの人をたくさん見ますからね。見れば分かるんですよ。彼女はどうしてなかなか油断ならない人ですよ。
だからストーカーにまで遭ってしまうんですよ。まああなたと彼女が無事結婚したとしますよ。もし彼女が浮気したらどうするんです?やりかねませんよ。あの人なら。
僕はことばに詰まった。